歯並びを治したいと思いつつも、装置をつけた自分の姿が気になり、なかなか治療に踏み出せない方は少なくありません。
見た目が気になってしまうのは自然なことで、高校生に限らず多くの方が同じように悩むポイントです。
近年では、マウスピース矯正などの目立ちにくい装置が増え、周りを気にせずに治療を始めやすくなりました。
工夫して取り組めば、いつも通り高校生活を楽しみながら矯正治療を進めることも可能です。
この記事では、高校生でも恥ずかしさを感じにくい装置の種類や、学校生活での対策について解説します。

ブライフ矯正歯科 院長
平塚 泰三(ひらつか たいぞう)
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業後、1年間の研修医を経て東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野に入局。大学院を修了し歯学博士を取得。関東を中心に複数の歯科医院にて矯正担当医として勤務。2021年11月に静岡県静岡市にてブライフ矯正歯科を開業。正しい矯正歯科治療を適正な治療費で提供するように努めている。日本矯正歯科学会認定医。
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
一般的な治療期間:2年から3年、一般的な通院回数:20回~30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用:痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響(歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折)・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着
高校生が矯正治療を「恥ずかしい」と感じてしまう理由

矯正治療を「恥ずかしい」と感じる理由は一人ひとり異なるものの、多くの高校生が感じている悩みには共通点もあります。
恥ずかしく感じてしまう理由として、主に次の2つが考えられます。
・恋愛や友人関係で見た目が気になるから
・「矯正=目立つ」という古いイメージが残っているから
それぞれの理由について、以下から詳しく見ていきましょう。
恋愛や友人関係で見た目が気になるから
高校生になると、これまで一番身近だった家族よりも、友だちや好きな人と過ごす時間が生活の中心になっていく人も多いです。
集団の中で過ごす時間が長い分「周りからどう見られているか」を意識してしまうことがあります。
実際の学校生活を、一度冷静に見渡してみましょう。
授業中であれば、黒板や手元のタブレット、ノートに集中しつつ、先生の話を聞くことに精一杯になりがちです。
休み時間も、友だちとの会話や自分の予定などに意識が向いていて、周りの人の口元まで細かくチェックしている人は多くありません。
それでも、矯正治療のように自分の口元に変化があると「今、見られたかもしれない」と感じてしまうことがあります。
実際には見られていなくても、自分が気にしている分だけ、視線が集まっているように感じてしまうのです。
恋愛や友人関係を大切にしたいからこそ感じる気持ちであって、多くの方が経験する自然な心理のひとつです。
「矯正=目立つ」という古いイメージが残っているから
矯正治療と聞くと、歯にギラギラした金属の装置がついている姿を思い浮かべる人も少なくありません。
以前は、目立つ装置の印象が強く「矯正は特別な人がやるもの」「見た目が気になるもの」というイメージが残りやすいこともありました。
今は矯正治療の技術も進化し、目立ちにくい装置が増えています。
そのため、気づいていないだけで、誰にも気づかれずに矯正治療を始めている人が周りにもいるかもしれません。
矯正治療は、以前よりもずっと身近なものになっているのです。
また、最近ではSNSなどで治療中の様子や歯並びの変化を発信する人も増えています。
「矯正=恥ずかしい」ではなく、メイクやファッションと同じように「きれいになるための自分磨き」として、前向きに受け止められる場面も多くなりました。
高校生でも恥ずかしくない!3つの目立たない矯正装置

矯正治療をためらう原因になりやすい見た目の問題は、目立たない装置を選ぶことで気になりにくくなることがあります。
見た目が気になる高校生にもおすすめできる、代表的な装置は以下の3つです。
・マウスピース矯正
・白いワイヤー矯正
・裏側矯正
ここからは、それぞれの特徴や、メリット・デメリットを解説します。
マウスピース矯正
マウスピース矯正(マウスピース型矯正装置を使う治療)は、透明で薄いマウスピース型の装置を、1〜2週間ごとに新しいものに交換しながら歯を動かしていく方法です。
一人ひとりの歯にぴったりフィットするオーダーメイド製で、近くでじっと見ない限り、周りに気づかれることはほとんどありません。
今の自分の雰囲気を保ったまま治療できるため、見た目が気になる高校生にとって安心して始めやすい方法です。
マウスピース矯正のメリット・デメリットは以下の表の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・透明で見た目が自然 ・外していつも通り食事や歯磨きができる ・歯並びのガタつきが軽度なら比較的短い期間で終わる場合がある |
・装着しないと歯が動かない(1日20時間) ・学校でも取り外しが必要(昼食時) ・歯並びのガタつきが強いと対応できない場合がある |
マウスピースは自分で簡単に取り外せるため、写真撮影や大切なイベントなど、どうしても装置を見せたくない場面でも融通がききます。
ただし、1日20時間以上の装着が必須となるため、外せる時間は限られています。
長時間外したままにすると、予定どおりに治療が進まなくなってしまう点には注意が必要です。
最近は多くのブランドのマウスピース矯正が登場し、SNSなどで「短期間で改善」という広告を目にする機会も増えました。
数ヶ月で改善できるのは、歯並びのズレがごく軽度の場合に対象となる、部分矯正に限られます。
マウスピースで全体的な矯正を行う場合、一般的な治療期間の目安は1年半〜3年程度となります。
事前にしっかり検査を行い、自分の歯並びに合った無理のない計画を立ててもらうことが大切です。
白いワイヤー矯正
白いワイヤー矯正(唇側矯正とも呼ばれる方法)は、歯に付けるボタンのような装置(ブラケット)を銀色ではなく、白色や透明なものを使います。
さらにブラケットに通すワイヤーも、白いものを選べます。
マウスピースのようなツルッとした透明感はないものの、装置の色が歯に自然になじみやすいです。
そのため、少し離れた距離での会話であれば、気づかれないこともあります。
ワイヤー矯正のメリット・デメリットは以下の表の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・学校で取り外す必要がない ・装置のつけ忘れや紛失の心配がない ・歯並びのガタつきが強いケースでも治療できる場合が多い |
・装置がでこぼこしているため、近くで見ればついているのがわかる ・装置に食べ物がからまりやすく歯磨きに時間がかかる ・マウスピース矯正に比べると痛みが出やすい傾向がある |
ワイヤー矯正は、昼食時に付け外しをする手間がありません。
マウスピースのように付け忘れや紛失の心配がないのが、学校生活を送るうえでメリットとなります。
ただし、装置のすき間に食べ物が挟まりやすいため、お昼のあとの歯磨きや鏡チェックは欠かせません。
ワイヤー矯正の治療期間は歯並びの状態によって異なり、2〜3年程度が目安です。
裏側矯正
裏側矯正(舌側矯正とも)は、通常は歯の表側につけるブラケットやワイヤーを、裏側につける方法です。
表には装置が何もつかないため、マウスピース矯正や白いワイヤー矯正に比べてさらに見た目を気にせず過ごせます。
裏側矯正のメリット・デメリットは以下の表の通りです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・正面からは装置が見えないため、見た目を気にせず治療できる ・取り外しの管理がいらない ・表側ワイヤー矯正と同様、重度の歯並びでも治療できる場合が多い |
・装置に舌が当たるため、発音のしにくさや違和感がでやすい ・歯の裏側の歯磨きが難しくなる ・材料費や技術料により、治療費が高くなりやすい |
裏側矯正は「できるだけ気づかれたくない」という思いがあり、目立ちにくさ優先で選びたい方におすすめできます。
注意点は、装置に舌が当たりやすいため、慣れるまでの1ヶ月程度は話しづらさを感じやすいことです。
裏側矯正の治療期間は、表側のワイヤー矯正と同様に2〜3年程度が目安です。
高校生のうちに矯正治療を始めるメリット

矯正治療を始めるのに年齢制限はないものの、高校生で始めるからこそのメリットがあります。
主なメリットは以下の4つです。
・大人よりも歯が動きやすく、治療が進みやすい
・卒業アルバムや成人式の写真にきれいな口元で映れる
・新生活を自信に満ちた笑顔で始められる
・治療スケジュールが調整しやすい
ここからは、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
大人よりも歯が動きやすく、治療が進みやすい
高校生は大人と比べて顎の骨に柔軟性があり、新陳代謝も活発です。
歯を動かしたあとの骨のつくり替えもスムーズに行われやすく、結果として矯正期間が大人に比べて短く済む傾向があります。
高校生は成長段階にあるため、治療計画は歯並びや顎の状態を確認したうえで歯科医師と相談して決めましょう。
また、高校生の時期は顎の成長がほぼ終わり、永久歯も生えそろってきます。
これ以上の骨格の変化が少ないため、歯の動きを予測しやすく、治療計画通り進みやすいという点でも良いタイミングです。
卒業アルバムや成人式の写真にきれいな口元で映れる
全体矯正にかかる期間は、平均すると2年ほどです。
高校1年生や2年生で治療を始めれば、卒業式当日や卒業写真の撮影に、きれいな口元で臨める可能性が高まります。
3年生からのスタートでも、成人式には間に合うケースが多いです。
「卒業までに」「成人式までに」など具体的な目標を持つことで、治療にも前向きに取り組めるようになります。
何年か経ってイベントの写真を見返し「あのとき治して良かった」と思える日がきっとくるはずです。
新生活を自信に満ちた笑顔で始められる
高校を卒業したあとの進学や就職は、新しい仲間と出会うタイミングです。
まったく知らない人たちに囲まれる新生活の中で、初めて装置をつけるのは今より勇気がいるかもしれません。
自分をよく分かってくれている友達が多い高校時代のうちに、矯正期間を終わらせてしまうという考え方もあります。
今のうちの歯並びを整えておけば、大学のサークル活動や授業、面接など、初めての場でも自信をもって笑顔を見せられるはずです。
数年後の自分のなりたい姿をイメージしてみることで、治療を始めるベストタイミングが見えてくることがあります。
治療スケジュールが調整しやすい
矯正治療は長期間の通院が必要なため、毎日のスケジュールが立てやすいことはメリットになります。
大学生や社会人になると、ライフスタイルが不規則になりがちです。
遠くの大学に通うことになったり、仕事の予定が急に入ったりして、通院がおろそかになってしまうケースも少なくありません。
高校生の間は生活リズムが比較的安定していて、定期的な通院がしやすい時期です。
長期休みに合わせて治療をスタートすれば、装置に慣れない時期や食事がしにくい時期を自宅で過ごすこともできます。
矯正治療中の高校生活で恥ずかしい思いをしないためのコツ

学校生活で「恥ずかしい」と感じる場面は、工夫や考え方次第で乗り越えることができます。
高校生活を楽しく過ごすために、以下の2つを意識してみるのがおすすめです。
・歯と装置をケアして清潔感を保つ
・あえて口元を隠さず自然に振る舞う
ここからは、具体的な対策を見ていきましょう。
歯と装置をケアして清潔感を保つ
歯や装置を丁寧にお手入れしていれば、矯正中であっても清潔感のある印象をキープしやすいです。
とくにワイヤー矯正では、装置のすき間に食べ物が挟まったまま気づかず、あとから恥ずかしい思いをすることも。
対策として、お弁当の中身を工夫するのも一つの方法です。
たとえば、はさまりやすい葉野菜や細かい海藻類などは避けて、ハンバーグや卵焼きなど柔らかくてまとまりのよいものを選ぶと安心です。
少しずつ水を飲みながら食べると、食べかすが装置に付きにくくなり、学校での歯磨きも楽になります。
また、マウスピース矯正の場合は、つけたまま飲食すると装置が黄ばんでしまうことがあります。
とくに炭酸飲料や色の濃い紅茶・緑茶などには注意が必要です。
外してから食べることはもちろん、装着前には歯や装置を清潔にする習慣をつけましょう。
あえて口元を隠さず自然に振る舞う
口元を無理に隠そうとすると、かえって視線が集まりやすくなることがあります。
堂々と自然に振る舞うほうが、周りも早く見慣れるものです。
たとえば、話すときに何度も口元に手を持っていくと、相手は無意識に口元に目を向けてしまいます。
逆に気にせず自然に話していると、相手の視線は目元や表情全体に向かいやすいです。
また、毎日顔を合わせているうちに、装置がついているのが当たり前の顔として違和感なく受け入れられていくこともあります。
周りだけでなく、本人自身もだんだん気になりにくくなるケースが多いです。
隠す方法を考えるより「きれいな歯並びになるために頑張ってる」と先に周りに伝えておくと、気持ちも楽になることがあります。
高校生の矯正治療に関するよくある質問

最後に、矯正治療を検討中の高校生からよくいただく質問を3つ紹介します。
・学校ではどこでマウスピースを外せばいいですか?
・すぐ矯正をしない場合、将来どうなりますか?
・治療費は一度に全部払わなければいけませんか?
ここからは、質問にひとつずつお答えしていきます。
学校ではどこでマウスピースを外せばいいですか?
昼食前に洗面所で外すという方が多いです。
鏡があり手洗いもしやすいため、落ち着いて外せます。
移動する時間がない場合は、席に座ったままハンカチやマスクで口元を隠し、さっと外してしまう方もいます。
食後は、歯磨きをしたあと、マウスピースも軽く洗い、清潔な状態にしてから再装着しましょう。
外したマウスピースは、ティッシュなどに包まず、ケースに入れておくと紛失を防げます。
好きなデザインのケースを選ぶと、目に入るたびに気分が上がるという考え方もあります。
すぐ矯正をしない場合、将来どうなりますか?
矯正治療を今すぐ始めなかったからといって、必ず問題が起こるわけではありません。
ただし、歯並びの状態によっては、将来的にいくつかの影響が出る可能性があります。
まず、歯並びが悪いままだと、歯ブラシが届きにくく磨き残しが増える傾向があります。
毎日しっかり磨いていても、歯並びの影響で虫歯や歯肉の腫れにつながるケースは多いです。
また、就職活動や人前に出る場面が増えてくると「やっぱり歯並びが気になる」と改めて悩んでしまうことがあります。
早く始めた分だけ、人生の中できれいな口元で過ごせる時間が長くなるという考え方もできます。
将来どんな場面で歯並びを気にしそうか、いつなら生活の中で無理なく続けられそうかを考えてみましょう。
治療費は一度に全部払わなければいけませんか?
矯正治療の費用は高額になることもあるため、一度に全部払うのが難しい方も多いです。
そのため、ほとんどの歯科医院では分割で支払える方法が用意されています。
代表的なのが「院内分割払い」と「デンタルローン」です。
院内分割払いは、歯科医院が独自に行っている分割制度で、2年前後のうちに数回に分けて支払いをするのが一般的です。
デンタルローンは、長い期間(最長7〜10年程度)で分割できるケースがあります。
ただし、デンタルローンは安定した収入がないと審査に通らないため、保護者名義での申し込みが必要です。
高校生の矯正は恥ずかしいことではない!自分に合った治療法は矯正歯科に相談を

最近では目立ちにくい装置が選べるようになり、昔に比べて矯正治療を始めやすくなっています。
歯並びや噛み合わせを改善する「治療」であると同時に「自分磨き」として取り組む高校生も増えてきました。
自分に合った装置を選び、毎日の歯磨きやケアを前向きに続けることで、周りの目が気にならなくなっていくことも多いです。
矯正治療をしながらでも、高校生活を思いっきり楽しめます。
ただし、矯正治療が身近になったからこそ気をつけてほしい点もあります。
「簡単に安く、短期間で治る」といった言葉だけで決めてしまうのはおすすめできません。
歯科医師による正確な診断があってこそ、納得できる仕上がりになり、きれいな状態を長く保ちやすくなります。
矯正治療を考え始めたら、まずは矯正歯科に相談してみましょう。
ブライフ矯正歯科では、最初のカウンセリングで患者さんのお悩みをじっくりとお聞きしています。
「学校のこんな場面で困りそう」「ここが恥ずかしい」といった不安を遠慮なく聞かせてください。
歯並びの状態と高校生活の両方を踏まえて、一人ひとりに合った方法を考えていきます。
矯正治療を迷っている方も、どうぞお気軽にご相談ください。


