成人式は、一生に一度の晴れ舞台として、写真に残る大切なイベントです。
自信のある笑顔で迎えるために、成人式をきっかけに矯正歯科治療を始めようと決意する方も少なくありません。
とはいえ「今からでも間に合う？」「間に合わなかったらどうなる？」「費用はどれくらい？」など不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、成人式に間に合わせるための治療スケジュールや治療法の選び方、費用の目安などを一つひとつ解説していきます。
ブライフ矯正歯科 院長
平塚 泰三（ひらつか たいぞう）
東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業後、1年間の研修医を経て東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野に入局。大学院を修了し歯学博士を取得。関東を中心に複数の歯科医院にて矯正担当医として勤務。2021年11月に静岡県静岡市にてブライフ矯正歯科を開業。正しい矯正歯科治療を適正な治療費で提供するように努めている。日本矯正歯科学会認定医。
矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費（自由）診療です。
一般的な治療期間：2年から3年、一般的な通院回数：20回～30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用：痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響（歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折）・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着
成人式に間に合う？タイミング別に見る矯正治療の進み方
矯正歯科治療を成人式までに終わらせたいと考えている方にとって、いつ始めるかは重要なポイントです。
スタート時期によって、どこまで整えられるかや仕上がりの完成度に違いが出てきます。
成人式までの残り期間によって、次のような違いがあります。
・【2年前】全体の歯並びをしっかり整えられる
・【1年前】見た目の変化を実感できる
・【半年前】前歯のみなら可能なケースもある
それぞれの時期でどんな治療が可能なのか、詳しく見ていきましょう。
【2年前】全体の歯並びをしっかり整えられる
成人式の2年以上前であれば、どのような歯並びでも対応しやすい理想的なタイミングです。
ワイヤー矯正、マウスピース矯正ともに全体矯正の場合、平均して2年ほどかかるのが一般的です。
たとえば、次のようなケースでも、成人式前に治療を終えられる可能性があります。
・歯の重なりやガタつきが強いケース
・八重歯
・出っ歯や口ゴボ
歯の重なりや突出の程度が重度で、治療期間が3年ほど必要になるケースでも、2年あれば見た目はほぼ整っていることが多いです。
2年経過以降は、噛み合わせなどを微調整する仕上げの段階に入ります。
【1年前】見た目の変化を実感できる
成人式まであと1年のタイミングで矯正歯科治療を始めても、決して遅くはありません。
全体矯正でも、半年を過ぎたころから少しずつ歯並びの変化を実感でき、1年経つころには見た目の印象が整っているケースも多く見られます。
おおよそ2年の治療期間を想定した場合、見た目の変化は次のように進むことが一般的です（個人差あり）。
| 3ヶ月後 | 写真を比べると、前歯の重なりが少し改善しているのがわかる。歯の動きは1か月で0.5〜1mm程度 |
|---|---|
| 6ヶ月後 | 周囲からも「歯並び変わった？」と気づかれ始める |
| 1年後 | 見た目の印象が変わり、歯並びがほぼ整って見える段階に入る |
1年後には、人から見える部分の歯並びは整っているため、写真撮影や同級生との再会でも、自信を持って口元を見せられるはずです。
【半年前】前歯のみなら可能なケースもある
成人式まで半年ほどのタイミングでも、歯並びの状態によっては治療が間に合う場合もあります。
次のようなケースなら、部分矯正で前歯だけを整えられる可能性があります。
・前歯の重なりがごく軽い（重なりが1〜2㎜程度）
・前歯の中央にすき間がある（1〜2㎜ほどのすきっ歯）
・奥歯の噛み合わせに問題がない
・過去に矯正経験があり、前歯だけが少し戻ってしまった
半年前のタイミングは、治療を始めるかどうかの判断が分かれる時期です。
始めようか迷っている場合は、1日でも早く歯科医院へ相談しましょう。
また、相談時には、成人式までに整えたいという希望を必ず歯科医師に伝えてください。
成人式をできるだけきれいな状態で迎えられるよう、歯を動かす順番や抜歯のタイミングなどを調整して計画を立ててもらえる場合があります。
矯正治療中に成人式を迎えた！相談したら装置は外せる？
ワイヤー矯正の場合でも、ほとんどのケースで装置を一時的に外すことは可能です。
成人式や結婚式、就職活動、ほかの写真撮影など、大切なイベントに合わせて装置を外すことは珍しくありません。
ただし、「明日外したい」と急に伝えてもすぐには対応できません。
装置の取り外しは、歯科医師が専用の器具で一つずつ丁寧に行い、歯の表面の接着剤をきれいに磨く処置も必要です。
また、治療の進み具合によっては、希望するタイミングに外せない場合もあります。
そのため、少なくとも数か月前には「成人式に合わせて一時的に外したい」という希望を伝え、治療計画に組み込んでもらうことが大切です。
いつまでに、どの程度まで歯並びを整えたいかを具体的に話しておくと、よりスムーズに対応してもらえるわけです。
矯正装置を外すときの注意点
成人式などのイベントに合わせて一時的に装置を外す際には、以下のような注意点があります。
・追加費用がかかる
・外している分だけ治療期間が延びる
・後戻りのリスクがある
装置を外して再度つけ直すためには、時間と材料費がかかります。
そのため、数千円〜数万円の追加費用が発生する場合が多いです。
上下の前歯をすべて外すと費用が高くなる場合がありますので、目立つ上の前歯だけ外すという方法も可能です。
装置を外している期間は、治療が進まないだけでなく、歯が少しずつ元の位置に戻ってしまうことがあります。
後戻り防止のためのマウスピースなどを一時的に使うことがあり、装置の費用はおよそ1万円が目安です。
前撮り写真の仕上がりだけが気になる場合には、写真の修整に対応している写真館に相談してみるのも一つの方法です。
最近では、矯正装置を消す加工サービスを行っている写真館も増えています。
成人式のための目立たない矯正治療方法
目立ちにくい矯正装置を選ぶことで、成人式当日も見た目を気にせず笑顔で過ごせる方もいます。
たとえば、次のような治療方法です。
・マウスピース矯正
・白いワイヤー矯正
・裏側矯正
装置の特徴や治療方法を、それぞれ見ていきましょう。
マウスピース矯正
透明なマウスピース（マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置）を、1〜2週間ごとにご自身で交換しながら、歯を動かしていく方法です。
マウスピースの厚さはわずか0.5㎜ほどで、歯にピタッとフィットするため、装着していてもほとんど気づかれません。
それでも気になる場合は、成人式や同窓会の最中だけ外しておくことも可能です。
ただし、マウスピース矯正は1日20時間以上の装着が必要で、装着時間が足りないと目標通りに治療が進みません。
成人式当日を自信のある笑顔で迎えられるよう、日ごろから装着時間を守ることが大切です。
白いワイヤー矯正
銀色の装置ではなく、白や透明のブラケット（歯の表面につける小さな装置）と白いワイヤー（審美ブラケットを用いたマルチブラケット装置）を使う矯正方法です。
歯の色になじみやすく、1メートルほど離れた距離であればほとんど目立ちません。
芸能人でも、白いワイヤー装置をつけたままテレビやSNSに登場している方もいます。
アップで映らない限り、装置は目立っていないので、成人式の写真撮影でもそれほど気にならないといえるでしょう。
ただし、写真のような平面上では分かりづらくても、直接見ると装置に凹凸があるため、マウスピース矯正と比べると存在感が出やすいです。
ワイヤー矯正は、歯科医師が調整することで歯が動いていくため、毎月の通院さえできれば治療が進みます。
患者さん自身の管理に左右されにくく、毎月の通院と調整によって安定した歯の移動が期待できる治療法といえます。
裏側矯正
ワイヤー矯正の一種で、通常歯の表側につけるワイヤーとブラケットを、裏側につける矯正方法（舌側矯正装置を用いた矯正歯科治療）です。
口の中をのぞき込まない限り装置が見えることはなく、見た目を気にせずに治療ができます。
ただし、装置が舌に近い位置につくため、慣れるまでは話しづらさや違和感を覚えることがあります。
また、使用する材料が高価なことに加え、高い技術が必要とされるため、費用は表側矯正の約1.5倍と高めです。
「絶対に装置を見せたくない」という強い希望がある方におすすめの方法です。
目立ちにくさの順で並べると「裏側矯正」「マウスピース矯正」「白いワイヤー矯正」の順番になります。
成人式に向けた矯正治療の費用目安
矯正歯科治療にかかる費用は、歯並びの状態や選ぶ装置、歯科医院の料金設定によって変わります。
全体矯正と部分矯正、それぞれの費用目安は、以下の表のとおりです。
| 矯正方法 | 全体矯正の費用 | 部分矯正の費用 |
|---|---|---|
| マウスピース矯正 | 60〜110万円程度 | 10〜60万円程度 |
| 表側ワイヤー矯正 | 60〜100万円程度（白いワイヤーはプラス10万円程度） | 15〜60万円程度 |
| 裏側ワイヤー矯正 | 100〜150万円程度 | 40〜80万円程度 |
上記は基本料金です。
実際には次のような追加費用がかかることがあります。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 初回相談料 | 無料〜5,000円程度 |
| 精密検査・診断料 | 1万〜5万円程度 |
| 抜歯費用 | 5,000〜15,000円程度/1本 |
| 調整料・観察料 | 5,000円程度/1回 |
| 保定装置代 | 1〜6万円程度 |
基本料金に調整料などが含まれる「トータルフィー制度」を導入している歯科医院もあります。
費用を確認するときは「総額でいくらかかるのか」を必ず聞くようにしましょう。
成人式に向けた矯正治療費の支払い方法
矯正歯科治療は、健康保険が適用されない自費診療となるため、費用は決して安くありません。
一括での支払いが難しい場合も多いため、ほとんどの歯科医院では次のように「院内分割払い」や「デンタルローン」に対応しています。
| デンタルローン | 比較的低い金利（3%〜8％程度）で、長期の分割払い（最長7〜10年）が可能な歯科治療専門ローン。 100万円の治療費を金利5%のデンタルローンで84回（7年）払いにした場合、月々の支払額は14,000円程度 |
|---|---|
| 院内分割払い | 歯科医院独自の分割払い制度で、金利がかからない場合が多い。 治療が終わるまでに全額を支払うケースが多く、2年前後での分割が一般的 |
デンタルローンを利用するには審査が必要です。
安定した収入がないと審査に通らないため、未成年の方は保護者名義で申し込む必要があります。
また、矯正歯科治療にかかった費用は「医療費控除」の対象になることがあります。
確定申告をすると、所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。
たとえば、年収500万円の方が、1月1日からの1年間で100万円を支払った場合、条件によっては27万円ほど戻るケースもあります。
デンタルローンなどで分割して支払っている場合は、1年間で支払った金額のみが対象になります。
年収500万円で、年間20万円の支払いであれば、およそ3万円戻ってくる計算です。
まだ働いていない学生さんが矯正歯科治療を始める場合、費用はご家族の支援が必要になることがほとんどです。
人によっては進学費用がかかる時期とも重なるため、無理のない支払い方法を親御さんとよく話し合ってから決めましょう。
成人式に向けた矯正治療で知っておきたい注意点
成人式に向けて矯正歯科治療を始める際に、知っておきたい注意点が2つあります。
・必ず計画どおりに終わるとは限らない
・装置が外れてからの「保定期間」が重要
後悔のない治療をするためのポイントを、以下から詳しく説明します。
必ず計画どおりに終わるとは限らない
矯正歯科治療は、はじめに立てた計画どおりに必ず終わるとは限りません。
歯の動き方には個人差があり、スムーズに動く方もいれば、予定より時間がかかる方もいます。
マウスピース矯正では、装着時間が足りなかったり、うっかり失くしてしまったりすると、治療が遅れるケースも。
途中で治療計画の見直しが必要になった場合、数ヶ月単位で遅れが生じることもあります。
成人式までに整えておきたいと考えている方は、できるだけ早めに相談して、余裕のあるスケジュールで進めることが大切です。
装置が外れてからの「保定期間」が重要
矯正歯科治療は、歯がきれいに並んで装置が外れてからの「保定期間」も重要な治療の一部です。
保定期間とは、整えた歯並びが元に戻らないように、保定装置で歯の位置を固定させる期間のこと。
保定装置を入れる期間の目安は、約2年間です。
最初は1日20時間ほど装着し、歯科医師の指示にあわせて少しずつ時間を減らしていきます。
最終的には、寝ているときだけの装着ですむようになるのが一般的です。
保定装置は目立ちにくく、マウスピース型など取り外しができるタイプも多いため、無理なく使えます。
治療期間中の努力やかけた費用がムダになってしまうことのないように、必ず最後まで装着を続けましょう。
せっかく成人式までに歯並びが整っても、保定装置を使わなかったことで、式の日に歯が少しズレてしまっていたというケースもあります。
とくに装置を外してから数ヶ月間は歯が戻りやすい時期なので注意が必要です。
成人式前に矯正治療を始めるメリット
成人式前に矯正歯科治療を始めると、当日を笑顔で迎えられることはもちろん、20代からの生活にもよい影響をもたらします。
たとえば、次のようなメリットがあります。
・写真写りがよくなる
・同級生との再会で自信がもてる
・成人してから始めるより時間も負担もかからない
・成人式後のイベント（就職・結婚など）にもプラスになる
ここからは、治療を始めるメリットについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
写真写りがよくなる
歯並びが整っていると、写真写りは格段に良くなります。
口元を気にして手で隠したり、口を閉じて微笑んだりする必要がなくなり、自然な笑顔をカメラに向けることができるようになるからです。
成人式では、カメラマンによる前撮りや当日の記念撮影だけでなく、友人同士での写真や動画撮影など、数えきれないほどの写真が残ります。
最近では、SNSを通じて多くの人の目に触れることも増えてきました。
歯並びのガタつきや出っ歯などが改善されると、横顔のラインも整うことが多く、どんな角度から撮影されても自信を持てるようになります。
同級生との再会で自信がもてる
成人式は、久しぶりに同級生と顔を合わせる特別な場です。
お互いの成長や変化に注目が集まりやすく「きれいに見られたい」と意識する方も少なくありません。
矯正歯科治療で歯並びが整うと、顔の印象も変わることがあります。
たとえば、八重歯がなくなると、幼さがやわらぎ大人っぽい印象になりやすいです。
出っ歯や口ゴボは、口元が下がってバランスが整うため、鼻筋がスッと通ったように見えることがあります。
昔から口元にコンプレックスがあった方でも、治療による変化を実感できれば、久しぶりの再会にも自信をもって笑顔で臨めるはずです。
成人してから始めるより時間も負担もかからない
矯正は、歯を支える骨がやわらかいうちに始める方が早く動きやすいです。
17～19歳くらいの時期は、すでに顔立ちは整っていても、骨の硬さはまだ完全に止まっていないため、歯がスムーズに動きます。
つまり、同じ治療をしても20代半ば以降より短い期間で整うことが多いのです。
一方で、成人してから始めると歯の根を支える骨が硬くなっており、歯を動かすスピードが遅くなる傾向があります。
そのため、治療が1年長くかかることも。
また、社会人になると仕事が忙しく、通院の時間をとりにくくなる方もいます。
通院を後回しにすると、治療の進みが遅れて成人式後まで長引いてしまうこともあります。
若いうちに始めると、治療中でも生活に慣れやすく、歯磨きやマウスピースの管理なども早く習慣化可能。
もし大人になってから始めた場合、仕事や家事の合間に装置の手入れをするのが難しくなり、汚れがたまって虫歯になることも起きてしまうのです。
実際に、20代後半で矯正を始めた方が「もっと早くやればよかった」と感じるのは、そうした負担の差が大きいからです。
つまり、成人式の前に矯正を始めると「歯が動きやすく早く整う」「生活のリズムに合わせやすい」「社会人になってからの負担を減らせる」という三つの利点があります。
成人式は人生の節目であり、見た目を整えるだけでなく、将来の自分への準備にもなる時期です。
歯がまだ動きやすい今のうちに始めておくと、その後の時間と手間をぐっと減らせます。
成人式後のイベント（就職・結婚など）にもプラスになる
成人式が終わってからも、20代では、就職活動や新しい出会いなど、第一印象が大事になる場面が増えてきます。
歯並びがきれいになると、歯を見せて笑うことに抵抗がなくなり、自然と表情が明るくなる方が多いです。
面接や人とのやり取りでも「明るく前向きな人」や「自己管理ができている人」といった評価につながりやすくなります。
また、成人式と同じように、歯をきれいにしたいと感じるもう一つの節目が、結婚式です。
早めに矯正歯科治療をスタートしておくことで、将来迎えるさまざまなイベントでも、やっておいてよかったと感じる瞬間が増えていきます。
さらに、歯並びを整えることは、むし歯や歯周病のリスクを減らすという意味でもメリットがあります。
もし親御さんの説得に苦労している場合は、成人式だけではなく、就職や健康のことまで見据えた計画的な考えを伝えてみると、納得してもらいやすくなるはずです。
最高の笑顔で成人式を迎えるために、矯正相談はお早めに
成人式は、ゴールであると同時に、新たなスタート地点でもあります。
これから訪れる新しい出会いや生活を、自信をもって迎えるためにも、矯正歯科治療は価値ある選択です。
治療は長期間にわたることが多く、決して簡単ではないため目標をもつことは大切です。
「成人式」という明確な目標は、続けるモチベーションになります。
また、治療を計画通りに進めるには「装置を指示通りに装着する」「歯磨きを徹底する」「通院日をきちんと守る」なども重要なポイントです。
日々の積み重ねが、効果につながっていきます。
ブライフ矯正歯科では、患者さまのご希望を丁寧にお伺いしながら、大切な日程もふまえた治療計画をご提案します。
当日を笑顔で迎えられるよう、サポート体制も万全です。
成人式に向けた治療は、お早めにご相談ください。
