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矯正後10年たっても後戻りする?原因や予防法・再矯正が必要なケースを解説

矯正治療後や、これから治療を検討するなかで「きれいな歯並びを一生保てるのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

矯正治療は、長い期間と費用をかけて行うため、「努力が無駄になってしまうのでは」と心配になるのも無理はありません。

矯正後に歯が動いてしまうのは、決して珍しいことではありません。

ただし、治療前のような状態に完全に戻ってしまうわけではなく、多くは軽いガタつきとして現れます。

矯正後の後戻りは、日々のケアや習慣など、ご自身の取り組みで防げる部分も多いです。

日々のケアや定期的な確認を続けることで、歯並びの安定を目指せます。

ただし、経過には個人差があるため、お気をつけください。

この記事では、矯正後に歯並びが変わる原因や後戻り予防法、再矯正が必要になるケースについて解説します。

ブライフ歯科 院長 / 日本矯正歯科学会認定医 平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

ブライフ矯正歯科 院長
平塚 泰三(ひらつか たいぞう)

東京医科歯科大学歯学部歯学科を卒業後、1年間の研修医を経て東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学分野に入局。大学院を修了し歯学博士を取得。関東を中心に複数の歯科医院にて矯正担当医として勤務。2021年11月に静岡県静岡市にてブライフ矯正歯科を開業。正しい矯正歯科治療を適正な治療費で提供するように努めている。日本矯正歯科学会認定医。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費(自由)診療です。
一般的な治療期間:2年から3年、一般的な通院回数:20回~30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用:痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響(歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折)・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

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「これって後戻り?」矯正から10年後に現れやすい変化

矯正治療から10年の年月が経つと、歯並びが変わったと感じる方もいます。

代表的なのは、以下のような症状です。

・下の前歯がガタガタと重なってきた
・前歯の間にすき間ができてきた
・噛んだときに違和感がある

それぞれの変化について、以下から具体的に見ていきましょう。

下の前歯がガタガタと重なってきた

下の前歯は、ガタつきやねじれなどの後戻りがとくに起こりやすい部位です。

下の前歯を支えている骨は、ほかの場所より薄く、周りからの力の影響を受けやすいためです。

最初に動いていたのが奥歯だったとしても、奥からドミノ倒しのように押されることで、最終的に下の前歯の重なりにつながることもあります。

矯正後、数ヶ月から数年のうちに前歯のガタつきを感じたのであれば、後戻りが関係しています。

とくに今の歯並びが、矯正前とよく似ていると感じる場合は、後戻りであることが多いです。

一方で、矯正治療と関係なく、年齢とともに起こる歯の動きが影響しているケースもあります。

前歯の間にすき間ができてきた

前歯のすき間は、すきっ歯の矯正治療をした方に起こりやすい変化です。

矯正治療で動かした歯は、もとの位置に戻ろうとする性質があります。

時間が経つにつれて戻る力が少しずつ積み重なり、歯と歯の間が再び開いてきたと感じるケースは少なくありません。

一方で、10年の間に歯周病が進行し、歯を支える土台である骨が減ってしまうケースもあります。

土台が弱くなると、噛む力に耐えきれず、前歯が外側に広がるように動いてしまうこともあるのです。

噛んだときに違和感がある

見た目のズレと同じくらい気になりやすいのが、噛んだときの感覚の変化です。

「特定の歯だけが先に当たる気がする」「カチッと噛み合わない」といった違和感を覚えることがあります。

長い期間のなかで、歯の表面がすり減ったり、新たに被せ物が入ったりすることで、噛み合わせが少しずつ変わってくることもあります。

また、まれに見られるのが、過去に転倒やスポーツなどで歯を強くぶつけたことが関係しているケースです。

当時は大きな痛みがなくても、歯の根や周りの組織が受けたダメージが、時間をかけて噛みづらさに影響することがあります。

このように、噛み合わせの変化そのものは、必ずしも後戻りとは限りません。

ただし、特定の歯にばかり強い負担がかかった結果、動きが出てしまうことはあります。

矯正から10年後の後戻りは過度に怖がるものでもない

矯正治療を考えるときは、「今すぐ」だけでなく「10年後まで含めて」どうなるかを知っておくことが大切です。

ただし、将来の後戻りを心配しすぎる必要はありません。

後戻りは、日々の習慣とメンテナンス次第で、ある程度はコントロールできるものです。

経過には個人差があるため、お気をつけください。

矯正治療には、歯を動かす「動的治療期間」と、歯並びが整ったあとの「保定期間」があります。

保定期間は、動かした歯を新しい位置に定着させるための重要な期間です。

保定装置を指示通りに使用し、定期的に歯科医師のチェックを受けながら、治療後の歯並びを長くキープしている方は多くいます。

「10年後が不安だから」という理由だけで矯正治療をあきらめるのではなく、正しい知識を持ったうえで検討することが大切です。

矯正から10年もたって後戻りするのはなぜ?考えられる5つの原因

歯の動きは、矯正前の位置に戻ろうとする純粋な後戻りだけでなく、加齢や環境による変化も関係しています。

歯が動いてしまう原因として考えられるのは、主に以下の5つです。

・リテーナーの使用を途中でやめたため
・歯ぎしりや舌で歯を押すなどの癖が続いているため
・加齢や歯周病により歯を支える土台が弱くなったため
・顎の成長により骨格的なバランスが変化したため
・親知らずが歯を押しているため

それぞれがどのように歯並びに影響するのか、以下で詳しく説明します。

リテーナーの使用を途中でやめたため

治療直後は、指示通りにリテーナー(保定装置)をつけていた方も、時間の経過とともに気が緩みがちになってしまうことがあります。

リテーナーを十分に装着できない期間が続くと、歯が動く場合があります。

動き方には個人差があるため、お気をつけください。

治療直後は周りの骨がまだ柔らかく、もとの位置に戻ろうとする力が働いているためです。

矯正治療では、歯を動かす期間と同じくらい、整えた歯並びを維持する期間(保定期間)が重要とされています。

リテーナーの一般的な使用目安は次のとおりです。

期間 使用目安
治療後〜1年ほど 食事と歯磨き以外は装着(1日20時間前後)
2年目以降 就寝時のみ
3年目以降 歯並びの状態に応じて、毎晩または数日に1回

保定期間は、一般的に2年程度とされることが多いです。

ただし、歯の動きやすさには個人差があり、噛み合わせや歯の状態によって、適切な保定期間は変わります。

10年以上就寝時のリテーナー装着を続けている方も少なくありません。

歯ぎしりや舌で歯を押すなどの癖が続いているため

日々の習慣や癖も歯並びに影響します。

たとえば、顎を横にギリギリとずらすような歯ぎしりは、歯に横方向からの強い力がかかる動きです。

とくに矯正直後のように骨がまだ安定していない時期は、歯ぎしりの力が歯並びのズレにつながることがあります。

また、矯正治療中に舌で前歯を押す癖が治らずに、長く続いている場合は注意が必要です。

無意識のうちに、飲み込むたびに舌が前に出る癖がある方も意外と多くいます。

毎日、何百回と舌で歯を押し続けることで、歯が少しずつ動いてしまうこともあるのです。

加齢や歯周病により歯を支える土台が弱くなったため

年齢を重ねることで起こる骨の変化も、歯並びが乱れる原因の一つです。

とくに40代以降では、加齢の影響に加えて、歯周病の進行で歯を支える骨が減ってしまうことがあります。

歯を支える土台である骨が安定していないと、歯が動きやすいため、歯並びも変わることがあるのです。

顎の成長により骨格的なバランスが変化したため

10代で矯正治療をした方の場合、顎の成長で歯並びが変わることがあります。

身長の伸びが止まっても、顎の骨は20代前半くらいまで、少しずつ変わり続けることがあるためです。

とくに下の顎は、上の顎よりも遅れて成長する傾向です。

10代の矯正治療では、顎の成長も予測して計画を立てるものの、想定より変化が大きくなるケースもあります。

結果として、顎のバランスが変わり、歯並びの見え方や噛み合わせにズレが生じることがあります。

成長による変化は必ずしも後戻りとは限りません。

見た目が治療直後と変わったために、後戻りしたように感じてしまうこともあります。

親知らずが歯を押しているため

横向きに生えた親知らずが、歯を押すことで歯並びが乱れることがあります。

親知らずが歯を押す力は、奥歯から前歯に向かって少しずつかかり続けるため、歯列の一番前にある歯に影響が出やすいです。

とくに前歯には、親知らずに押された影響がガタつきとして現れることがあります。

ただし、横向きの親知らずがあるからといって必ず後戻りにつながるわけではありません。

親知らずの抜歯は、歯並びへの影響に加え、炎症や痛みなどのトラブルが起こる可能性も含めて慎重に判断します。

矯正から10年後に後戻りが起きても深刻になりにくい理由

仮に数年後に歯が動いたとしても、矯正前と同じ状態まで戻る例は、実際には多くありません。

後戻りが起きても深刻な状態になりにくいのには、次の3つの理由があります。

・歯を支える骨が、矯正後の歯並びに合わせて定着しているから
・動いたとしても部分的なズレで収まりやすいから
・ズレが小さければ、短期間の調整で整え直せることがあるから

矯正治療の過程では、歯を支える骨が新しい歯並びに合わせて変化します。

歯の位置だけでなく骨の形から変えて定着させているため、矯正スタート時の状態にまで戻ってしまうケースはまれです。

歯並びのズレに早めに気づいて相談すると、状況に応じた対応を検討しやすくなります。

そのため、取り返しがつかない深刻な変化にはなりにくいです。

10年後の後戻りを予防するための対策

日々の意識や習慣で後戻りは防げます。

歯並びを長く維持できるよう、以下のポイントを押さえましょう。

・リテーナーの不具合は早めに矯正歯科に相談する
・定期的な検診で歯並びと噛み合わせをチェックする
・歯並びを悪くする癖や習慣を見直す
・歯周病予防を徹底する

ここからは、それぞれの具体的な対策を解説します。

リテーナーの不具合は早めに矯正歯科に相談する

長い期間の中では、使用しているリテーナーが破損・紛失したり、歯が少し動いただけで合わなくなったりすることもあります。

今以上に大きくズレてしまわないうちに、早めの相談をおすすめします。

相談先は、治療を受けた矯正歯科が理想です。

治療時の記録や歯のデータが残っているため、スムーズに対応してもらえます。

もし、当時の医院に通えない場合でも、ほかの矯正歯科でリテーナーを作ってもらえることがあるので問い合わせてみましょう。

歯のズレが小さい段階で相談すると、状況に応じた保定の方法を検討しやすくなります。

定期的な検診で歯並びと噛み合わせをチェックする

歯並びの維持には、歯科医院での定期的な検診(3〜6か月に一度)が大切です。

定期的に診てもらうことで、虫歯や歯周病だけでなく、噛み合わせのわずかな変化にも早く気づくことができます。

後戻りは、噛み合わせのバランスが崩れると進みやすくなります。

保定期間が終わったあとの通院先は、歯科医院の方針や患者さんの状態によってさまざまです。

歯並びにトラブルがなければ、一般歯科で虫歯チェックやクリーニングを受けるだけでも問題ありません。

受診の際は、矯正治療を受けていたことを伝え、噛み合わせもあわせて確認してもらいましょう。

歯並びを悪くする癖や習慣を見直す

矯正後の歯並びを保つには、日々の癖を見直すことも大切です。

歯並びの乱れにとくに関わるのが舌の癖です。

普段から舌が前歯に当たる位置にあると、歯が押されて歯並びの乱れにつながります。

口呼吸も、唇で前歯を抑える力が緩まって歯が前に出やすくなるため、改善が必要です。

癖を改善する方法として、矯正歯科では「MFT(口腔筋機能療法)」を行うことがあります。

舌や唇の筋肉をバランスよく使えるように鍛えて、癖の原因をとるトレーニングです。

それでも癖が残る場合は、固定式リテーナーと取り外し式リテーナーを併用するなど、保定を強化する方法もあります。

長年の癖は、自分だけでは改善が難しいものです。

歯科医師に相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。

歯周病予防を徹底する

歯周病と歯並びには深いつながりがあります。

歯周病で骨が減ると歯並びが乱れて汚れもたまり、歯周病がさらに悪化しやすくなるのです。

歯並びを維持する土台である骨を守るために、徹底した歯周病ケアが欠かせません。

歯周病予防には、毎日のセルフケアが何よりも効果的です。

歯ぐきのきわ部分を丁寧に磨き、フロスや歯間ブラシも使ってすき間の汚れを取り除くことで、歯周病菌が住みつくのを防げます。

また、歯科医院で年に3〜4回のクリーニングを受けることも大切です。

歯ブラシだけでは落としきれないバイオフィルムや歯石を、プロの手で取り除いてもらいましょう。

後戻りした歯並びの再矯正を検討した方がよいケース

今の歯並びを維持する目的なら、リテーナーで対応できます。

歯並びを整えたい場合は、もう一度装置を使って歯を動かす「再矯正」が必要です。

治療を始めるか迷ったら「見た目のストレス」「食べづらさや顎の痛み」「歯磨きのしづらさ」があるかどうかを基準に考えましょう。

再矯正を考えるきっかけになりやすい状況を、以下の表にまとめています。

再矯正を検討した方がよいケース 具体的な状態・理由
見た目の変化が精神的なストレスになっている場合 ・鏡を見るたびに歯並びが気になり、人前で笑うのをためらってしまう状態が続いているケース
・矯正治療を始めた当初の「自信を持って笑いたい」という目的が損なわれ、日常的なストレスになっている場合は、再矯正を考える一つの目安になる
・ズレの程度よりも、本人が気になり続けているかどうかが判断の軸
噛み合わせが悪く食べづらさや顎の痛みがある場合 ・「噛み切りにくい」「片側でしか噛めない」など、噛み合わせのバランスに違和感が出ている状態
・放置すると特定の歯に負担が集中し、歯や根が割れる、将来的に抜歯が必要になるなどのリスクが高まる
・顎関節への負担から頭痛や肩こりにつながることもあり、健康面の影響も
歯の重なりが原因で歯磨きがしづらい場合 ・歯が重なった部分に汚れが残りやすく、毎日の歯磨きに時間や労力がかかる状態
・年齢とともに歯を支える骨は減りやすく、歯周病リスクも高まるため、磨きにくさは将来的な歯の喪失につながる
・歯並びを整えて清掃しやすくすると、長期的に歯の健康を守る手段になる

後戻りを改善する再矯正の種類

再矯正の治療法には「マウスピース矯正」と「ワイヤー矯正」があります。

初回の矯正治療と異なるのは「一度きれいな歯並びを作った土台がある」という点です。

そのため再矯正では、歯並びの状態に応じて、部分矯正と全体矯正のどちらが適するかが変わります。

再矯正を行う際の「部分矯正」と「全体矯正」の特徴を以下の表にまとめました。

名前 矯正の内容 適した状態・特徴
部分矯正 気になる部分を対象に、歯並びの状態に応じた範囲で整える ・少しズレてきたと感じる程度の軽度な後戻りであれば対応できる場合がある
・マウスピース矯正の進化により短期間で整えられるケースが増え、軽度であれば20〜30万円ほどで治療できる例も※費用や進め方は歯科医院で確認
・ただし、見た目のズレが小さくても奥歯の噛み合わせに影響している場合は適応外
・早期に相談することで部分矯正で済む可能性が高まる
・治療後はリテーナーの継続が重要
全体矯正 歯並び全体を根本から整え直す ・ガタつきが大きく、奥歯の噛み合わせまでズレている場合に必要となりやすい
・再矯正では、すでに一度歯列が整えられている分、初回より短い期間で終わるケースもある
・現在は技術と症例の蓄積により、再矯正でもマウスピース矯正で対応できる場合が増えている
・見た目と機能の両立を重視する場合に適す

矯正後の後戻りが気になったら、矯正歯科へ相談しよう!

矯正治療から10年も経過すれば、歯並びや噛み合わせが多少変わってくることは珍しくありません。

歯はもともと、年齢や噛み方、生活習慣の影響を受けながら動き続ける性質があるためです。

とはいえ、リテーナーを適切に使用し、歯周病予防を続けることで10年後もきれいな歯並びをキープしている方は多くいます。

ただし、経過には個人差があるためお気をつけください。

日ごろから鏡で歯をチェックする習慣をつけ、定期検診も忘れずに受けましょう。

歯の重なりや歯ぐきの腫れなど、小さな変化にも早めに気付きやすくなります。

もし歯が動いてしまった場合でも、早い段階であれば短期間で整えられるケースも少なくありません。

ブライフ矯正歯科では、後戻りしにくい安定した歯並びに仕上げるため、骨格や噛み合わせを考慮した診断・治療計画を行っています。

矯正治療から年数が経ち、歯並びが気になってきた方のご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

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