ビーバー歯ってどんな歯？3つの特徴と放置リスクなどを紹介

「ビーバー歯」は、動物のような親しみやすさや、かわいらしい印象を持たれることもあります。

一方でご本人にとっては「前歯が目立って恥ずかしい」「口を開けて笑えない」など、深刻な悩みにつながっているケースも少なくありません。

治したいと思いつつも、自分に治療が必要かどうかや、どんな解決策があるのかがわからず、踏み出せない方もいるのではないでしょうか。

この記事では、ビーバー歯に見える3つの特徴や、放置することで起こり得るリスク、治療で改善する方法について詳しく解説します。

矯正歯科治療は公的健康保険適用外の自費（自由）診療です。
一般的な治療期間：2年から3年、一般的な通院回数：20回～30回
矯正歯科治療の一般的なリスクと副作用：痛み ・口腔内不潔域の拡大と自浄作用の低下・歯根への影響（歯根の短小、歯の失活、歯肉退縮、歯根露出、失活歯の歯根破折）・顎関節症状・後戻り·加齢による変化・骨癒着

自分はビーバー歯かどうかを見分ける3つの特徴

ビーバー歯は上の前歯2本が、まるで木をかじるビーバーの前歯のように目立って見える状態を指す呼び名です。

正式な歯科用語ではないため、歯の長さが何センチ以上といった明確な基準はありません。

次のような特徴があると、ビーバー歯と呼ばれることが多いです。

・上の中央2本の歯が明らかに大きい
・隣の歯が小さく中央の歯が強調されている
・前歯2本だけ前に出ている

以下からは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

上の中央2本の歯が明らかに大きい

ビーバー歯でよく見られる特徴のひとつが、上の中央の前歯2本がほかの歯よりも大きいことです。

中央の歯は、横幅が8.5mm前後、長さが10〜11mmほどとされています。

ただし、歯の大きさには個人差があり、上記の値はあくまで平均値です。

また、顔全体の大きさや骨格とのバランスによって歯の見え方は変わります。

そのため、歯の大きさが平均を超えているからといって、ビーバー歯のように見えるというわけではありません。

歯の大きさは、遺伝的な要因が関わっていると考えられており、ご両親のどちらかと似たサイズや形になるケースもよく見られます。

隣の歯が小さく中央の歯が強調されている

中央の前歯2本の大きさが標準的でも、隣にある歯が小さいと、相対的に中央の歯だけが大きく見えてしまうことがあります。

生まれつき小さく生える「矮小歯（わいしょうし）」は、上の中央から2番目の歯に多くみられます。

矮小歯は、円錐状の細長い形で、通常の歯より極端に小さいことが特徴です。

中央の歯そのものの大きさではなく、隣り合う歯とのバランスの問題でビーバー歯のように見えることも多いです。

また、隣の歯の幅が標準的であっても、歯並びが重なって一部が隠れていると、中央の歯だけが大きく見えることもあります。

前歯2本だけ前に出ている

歯の大きさは問題なくても、上の前歯2本だけがほかの歯よりも前に飛び出している状態も、ビーバー歯に見えることがあります。

歯列全体が前に出ている「出っ歯」とは異なり、あくまで中央の2本だけが突出しているのが特徴です。

前に出た2本の歯が、下唇に乗るように出てしまうと、ビーバー歯の印象がさらに強くなることがあります。

前歯の突出は、遺伝的な要因のほか、幼少期の指しゃぶりや舌で前歯を押す癖なども原因の一つです。

また、口呼吸が習慣になっていると、唇の筋肉が緩んで歯を抑える力が弱まり、前歯が前に出やすくなることもあります。

ビーバー歯を放置するリスク

ビーバー歯は、見た目の問題のほかにも、歯の健康や機能面においていくつかのリスクを抱えている可能性があります。

ご自身の歯を治すべきかの判断材料の一つとして、どのような問題があるかを知っておきましょう。

ビーバー歯をそのままにしておくことで考えられるリスクは、次の5つです。

・見た目のコンプレックスを抱えやすい
・虫歯や歯周病になりやすい
・口が乾きやすく口臭の原因になる
・前歯で食べ物を噛み切りにくい
・転倒時などに前歯をぶつけやすい

以下からは、問題点をそれぞれ詳しく解説していきます。

見た目のコンプレックスを抱えやすい

ビーバー歯に悩む方が抱えやすいのが、見た目に関するコンプレックスです。

「歯を見せて笑えない」「話すときに口元に視線を感じてしまう」など、日常的に気にしてしまう方もいます。

口元が前に出ていることで横顔の印象も変わることもあり、顔全体のバランスに悩む方も少なくありません。

とくに思春期や若いうちは、まわりと自分の見た目を比較しがちな時期です。

友人の視線が気になったり、笑顔に自信が持てなかったりすると、自己肯定感も下がり、気持ちが沈んでしまうことも。

外見に対するコンプレックスは、積極的に進む気持ちにブレーキをかけ、仕事や対人関係においても可能性を狭めてしまうこともあります。

笑うことは、心と体の健康にとって大切です。

声に出して思いきり笑うだけで、ストレスが軽くなったり、前向きな気持ちになれたりすることもあります。

もし笑顔をためらってしまうような気持ちがあるなら、ずっと抱え続けることで気づかないうちに心の負担が増えてしまうかもしれません。

虫歯や歯周病になりやすい

ビーバー歯で前歯が隣の歯と重なっていると、歯と歯の間や歯ぐきのきわに歯垢がたまりやすくなります。

歯垢は、虫歯や歯周病の直接的な原因です。

歯が重なっている部分は、デンタルフロスや歯間ブラシを使っても完璧に汚れを取り除くのが難しい場所です。

とくに上の前歯は、唾液で汚れを洗い流す働きや、溶け始めの歯を修復する再石灰化の作用が、下の前歯に比べて働きにくく、もともと虫歯になりやすい環境にあります。

歯と歯の間から気づかないうちに虫歯が進行してしまうケースも少なくありません。

前歯が突出していることで唇が閉じにくく歯が乾燥しがちな方は、唾液による作用が弱まるため、さらに虫歯のリスクが高まります。

口が乾きやすく口臭の原因になる

口臭の原因の一つが、舌の表面につく「舌苔（ぜったい）」という汚れです。

舌苔に細菌が集まり、においのもととなるガスを発生させます。

通常は、唾液が舌の汚れを洗い流し、細菌の増殖を抑える働きをしています。

ところが、口が開いたままになりやすいと、口の中が乾きやすく、唾液の機能が十分に発揮されません。

ビーバー歯は、唇が閉じにくくなることがあり、知らないうちに口呼吸の習慣がついてしまうことも多いです。

口が開きやすい場合は、虫歯や歯周病リスクに加えて、口臭の原因になってしまうこともあるのです。

前歯で食べ物を噛み切りにくい

前歯には、食べ物をちょうどよい大きさにかじり取るという、大切な役割があります。

前歯で小さくしておくことで、奥歯で噛み砕きやすくなり、噛むときの歯や顎の負担も軽減されます。

しかし、前歯が突出していたり傾いていたりして、上下の歯がうまく噛み合わないと、食べ物をスムーズにかじり取ることができません。

たとえば、肉や麺類が前歯でうまく噛み切れず、食べるたびにストレスを感じることもあるでしょう。

噛みにくさが続くと、食事がおっくうに感じ、食べやすいものばかりを選ぶなど、食生活に偏りが出る可能性があります。

噛み合わせに問題がある場合、長期的には歯や体の健康にも影響が及ぶことがあるのです。

転倒時などに前歯をぶつけやすい

前歯が出ていると、転倒やぶつかったときに、歯を強く打ってしまうリスクが高くなります。

たとえば、ボールが顔に当たると前歯が直接ぶつかるため、衝撃も強くなりがちです。

口を閉じていても突出した歯が唇の裏側に当たりやすく、ぶつけたときに唇を深く切ってしまうこともあります。

前歯を強く打つと、歯が欠けるだけでなく、歯の神経がダメージを受け変色するケースや、歯がグラつくリスクもあるため、注意が必要です。

スポーツをする方は、ぶつけるリスクがより高くなるため、スポーツ用のマウスピースで歯をガードしている方もいます。

ビーバー歯の改善方法

ビーバー歯は、見た目や機能面の悩みに応じて改善することが可能です。

もとの歯の状態や、どこまで整えたいかによって治療法の選び方も変わってきます。

代表的な治療方法は次の2つです。

・見た目をすぐ変える「セラミック治療」
・自分の歯を活かして整える「矯正歯科治療」

それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、順番に見ていきましょう。

見た目をすぐ変える「セラミック治療」

セラミック治療は、歯にセラミック製の薄いチップやかぶせ物をつけることで、歯の色や形、大きさを整える方法です。

ビーバー歯のセラミック治療では、ラミネートベニアやセラミッククラウンが選ばれることがあります。

以下の表では、それぞれの特徴と向いているケースをまとめています。

セラミック治療のメリットは、治療期間の短かさです。

型をとって接着するだけなので、短ければ2〜3回の通院で済みます。

一方でデメリットは、とくにセラミッククラウンの場合、健康な歯を小さく削らなければならない点です。

歯の大きさや向きを変えるために深く削る場合は、歯の神経をとる治療が必要になることもあります。

神経がない歯は、将来的に天然歯に比べて歯の寿命が短くなる可能性もあるため、慎重な判断が必要です。

セラミック治療は自費治療のため、費用は地域差や使う素材による差があり、1本10万円前後〜15万円程度が相場です。

自分の歯を活かして整える「矯正歯科治療」

歯の重なりが複雑であったり、噛み合わせにズレがあったりする場合、セラミック治療では対応しきれないことがあります。

前歯の突出や歯のがたつきがある場合には、矯正歯科治療で自然に目立ちにくくすることが可能です。

矯正歯科治療には、以下の方法があります。

矯正歯科治療のメリットは、ご自身の歯を活かしたまま整えられることです。

歯の大きさを変えて見た目をごまかすのではなく、口元のバランスや噛み合わせも総合的に整えられるため、顔全体の印象まで改善するケースも少なくありません。

デメリットは、セラミック治療に比べて治療期間がかかることと、治療費が高額になる場合があることです。

また、歯を短くするなど、形そのものを変えたい場合には適していません。

矯正歯科治療は、本来の歯を残しながら、長く健康的な状態を保ちたい方に向いている治療法です。

ビーバー歯に関するよくある質問

ビーバー歯についてよくいただく次のご質問にお答えします。

・ビーバー歯がかわいいといわれるのはなぜ？
・子どものビーバー歯は相談した方がいい？

以下からは、回答形式で質問について詳しく説明していきます。

ビーバー歯がかわいいといわれるのはなぜ？

大きめの前歯がウサギやリスなど小動物を連想させ、親しみやすくかわいらしい印象を与えるためと考えられます。

また、前歯が目立っていても、隠さず歯をしっかり見せて元気に笑う姿は、愛嬌があるように映るのも理由の一つといえます。

笑ったときに見える前歯がチャームポイントとなり、個性としてプラスに受け止められるのは、芸能人にもよく見られる例です。

ビーバー歯をご本人がどう感じているかによって、周りからの見え方も変わる可能性があるということです。

ご自身の歯を気に入っているのであれば、無理に治す必要はありません。

しかし、コンプレックスに感じ、笑顔に自信が持てないのであれば、改善するための選択肢を知っておくことが大切です。

子どものビーバー歯は相談した方がいい？

指しゃぶりが原因で前歯が出ていたり、噛み切りがうまくできない場合は、乳歯の段階であっても、早めに矯正歯科で相談しましょう。

お子さんの成長に合った時期に対策すれば、将来的にもワイヤーなどの装置を使わずに改善できることがあります。

一方で、永久歯に生え変わったばかりの時期は、前歯がビーバーのように大きく見えることがあります。

中央の永久歯は、乳歯より約1.3〜1.5倍大きいため、生え変わる前と比べて顔が変わったように感じることもあるかもしれません。

歯の大きさは大人まで変わりませんが、顎や顔はこれから成長していきます。

今はアンバランスに見えても、成長とともに自然に整ってくるケースも少なくありません。

ビーバー歯は改善できる！気になったら矯正歯科へ

ビーバー歯がコンプレックスになっている方も、適切な治療によって改善が可能です。

治療方法には、歯の大きさや形を変えるセラミック治療や、歯並びを整えてバランスを改善する矯正歯科治療があります。

早く見た目を変えたいのか、時間はかかっても根本的に治したいのか、何を優先するかによって選ぶ治療法は変わってきます。

ただし注意してほしいのは、セラミック治療のために削ってしまった歯はもとに戻せないという点です。

そのため、削る前にまず矯正歯科で相談し、治療の選択肢を聞いてから検討されることをおすすめします。

ブライフ矯正歯科には、ビーバー歯のように前歯にお悩みがある方も多く相談にいらっしゃいます。

矯正治療を行う場合は、精密に検査したうえで、マウスピース矯正や白いワイヤー装置など、患者さまのご希望に沿った方法をご提案可能です。

ご自身に合った方法が知りたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。